お腹がはちきれるまで食べる
私は最近毎日ワイヤー作品を見ている。
ちょっと大げさだが、もう目からお腹までが一杯になるんじゃないかというほど思うほど見続けもうこれ以上見たらお腹がはちきれて死ぬんじゃないかと思うくらい見続けている。
具体的に言うとPCの前に座っていられなくなりもきゃ-!!!とか叫びだすまでだ。
だが別に幾ら他の作家方の作品を見まくったからと言って作品を丸々コピーなどしないし、そもそもワイヤーとロウ引き紐と言う素材の違いもあって複製模写など出来るわけもないのでいきなり超絶素晴らしい作品群が大量に顕現したりはしない。
これは単に物理的に私の手がそこまで素早くも器用でもないからでもある。
でも毎日毎日もうダメだこれ以上見てたらひっくり返って死ぬ、というところまで素晴らしい作品群を見ていると自分の中に確実に構造や造形、デザインに対する興味や構想といったものが少しずつ蓄積されていくのを確かに感じる。
毎度毎度、自分の中から湧き上がるものだけを頼りに物を作るのはなかなか、上手くアウトプット出来る時と出来ない時の差が激しくそれで身を立てていくのを続けていくにはあまり現実的な手法ではないし、内面から湧き上がるものを形にしまくるという造形技術とはまた違う意味のずば抜けた才能はあいにく持ち合わせが少ないので自分でも楽しめてお客様にも楽しんでいただけるものを作るため、私は定期的にとにかく大量の情報を集め脳に詰め込む。
ただ、作ったもので稼ぎたいからというだけで毎日ぐったりするほど作品群を眺めているわけではない。
好きなものをお腹いっぱい食べるのは幸せな事である。
つまり好きな物事を突き詰めるために情報を集めるのもそれはそれで楽しい事なのだ。
私は私が楽しく、なおかつお客様も楽しめるものを楽しみながら作りたい。
もちろん映画見て閃いたデザインを無心に作る時だってあるし、近所の公園で撮ってきた樹液が光を反射する写真を手元にその色や輝きを形に落とし込んでいくこともある。
でもどちらにせよ、やりたいからやっている。
これは凄い!と自分で思えるものを作って作って作り続けたい欲望に駆られて今日もまたぐったりするまでワイヤーの作品群を眺めながら手を動かしている。
色や形、美しく配置されている石のバランス、そんな情報が私の脳みそを満たしていく。
やがて、頭の中から集めた情報が形になってあふれ出してきた時が作り時だ。
技術の足らないところもあろうが、自分の今持つ技術だけを手に未知の領域にひょいと歩き出すその時も、とても楽しい。
Tenyaco